結婚ミッション

日本とスウェーデン、ふたつの異なる国籍のほぼ同年代の女性に話を聞いた。テーマはパートナーシップ。このブログで以前書いたように「幸せな結婚」というものにモヤモヤとした疑問を感じはじめた私は、ある種のミッションとして、いま世界中の女性の結婚/パートナーシップ観を調べはじめているのだ。最初のターゲットはスウェーデン。この国は同棲する恋人同士が「サンボ」という法律用語で認められ、結婚カップルとほぼ同等の、完全なる市民権を得ているかなり恋愛リベラルな国家。話を聞いた女性も「サンボ」ではなく「サルボ」=離れて暮らすパートナーがいる関係を続行中で「互いに数年キャリアに専念して、将来的にはダブルインカム状態で一緒に暮らす約束をしているの」と笑顔で語ってくれた。確かに収入源がふたつあれば、おのずと可処分所得は増える。しかもそうして得られた経済力を、ただ老後のために貯蓄するのではなく、バカンスやサマーハウスなど「二人で分かちあう歓びを増やすために」使っていきたいと言う。これは退職後の福祉が完全保証されている国に生きるからこそ出てくる、あくせくしない余裕のある発想だ。ちなみに彼女は「一緒に暮らす」と述べただけで、いちども「結婚する」という言葉を使わなかった。

転じて、現在、彼氏/彼女の関係に3年間あるという日本人女性にも話を聞いた。彼女は丸の内で働くとても優秀なOLで、収入も安定している。緩やかな笑顔で「仕事は楽しい」と語ってくれた。にも関わらず、その木綿のようにふんわりとした笑顔からは想像もつかないことをパートナーに対して行っている。なんと彼の子供欲しさゆえに、秘密でコンドームに穴をあけてセックスをしているのだ。「なぜそんなことをするの?」「年齢的にそろそろ結婚しないとダメだから」。なんか、おかしい……。私は複雑な想いに駆られた。

日本では大半の人間がパートナーシップの最終形態を「結婚」というかたちで捉えている。無論、その概念を責めるつもりはもうとうない。国に保証された男女の生き方が他にないのだから、これは今の段階ではある程度、個人レベルでは受け入れるしかないことだと思う。けれど、今後はどうだろう。いつまでも頑固一徹に、たったひとつのパートナーシップの形態を、ご大層に守りつづけていく必要があるのだろうか。またその形態にむりくり自分の生き方を押し込めて、アベレージな「幸せ」を手にしなければと焦るのもどうなのか。
制度が自分の幸せを決めるのか、それとも自分が自分の幸せの主導権を握るのか。
個々人がもっと素直にこうした問いを自分に投げかければ、日本のパートナーシップのかたちもおのずと変わっていくと思う。もちろん、スウェーデンのように国家がその制度を認めて様々なかたちで後押ししなければ広く普及することは難しいけれど。まずは個人レベルの「なんかおかしい」の芽を大切に。少しずつ豊かな樹木に成長するよう努力していくべきだと思う。

(October 30, 2008)



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