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シャーデンフロイデ
ドイツ人の知人に面白い単語を教えてもらった。
シャーデンフロイデ。
逐語訳すればこれは「人の不幸を喜ぶ」という意味。
末恐ろしい単語だが、こうした負の感情が人間の内に存在することを素直に認め、
しかもその感情に、ひとつの別個のボキャブラリーを与えたドイツ人の正直さに、
私はある種の敬意を表したい。
我々の言語である日本語には、これにぴったりあてはまる単語がない。
だが、シャーデンフロイデは間違いなく日常のそこここに存在する。
とくにこの衆人環視の村社会においてルールに則して生きる人々は、
より「自由にオープンに、生きる人」が目の前に表れたとたん、
その人間の不幸をどこかで願う傾向があるように思う。
僕は私はこれほど単調な日々に必死に堪え忍んでいる。
にも関わらず、なぜおまえはそれほど自由で楽しそうなのか?
自由に生きることと背中あわせの苦を知るよしもない人間は、
そうして勝手に相手を憎みはじめる。あるいは、自分よりも劣る
「無邪気なもの」とみなし攻撃しはじめる。
しかもこの憎しみや攻撃が、影で隠れて行われたりするからタチが悪い。
むしろ「あ、それシャーデンフロイデじゃん」と口に出して、
笑っちゃえるような世の中がくれば清々しくて気持ちがいいのに。
あてはまる単語が存在しないことによって、
ないことにされている感情があるとしたら、
それはシャーデンフロイデという単語があること、よりもずっと怖ろしい。
(November 19, 2008)
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