|
心の手綱
旅にでるときはなるべく身軽に行きたい。それは持ち物もそうだし、心も。日本で自分が抱えている、価値観や、雑念や、リミッターを、なるべさっぱり取り払って、埃や垢のつかない襟を正した清潔な心で旅に出たい。日本ではこうしているから、毎日の食事はこうだから、こんな場所は自分のテリトリーじゃないから。そんな心持ちで自分をガードしていると、せっかく出逢えるかもしれない「驚き」をみすみす逃してしまう気がする。心が揺れるとき、ぶれるとき。確かにその瞬間は、自分の足場を見失うかのようなちいちゃな不安感が浮き出てくる。けれど旅の記憶は感情の揺れ幅に比例して、豊かにふくらんでいくように思う。もちろんそれでいて、芯はしっかり。感情が揺れても軸から倒れないよう、根を深く張っておきたい。今日からまた一人旅。行き先は、零下のコペンハーゲンとフランスの田舎町。心の手綱を解き放って、なるべく異国のノイズを敏感に感受したい。
(February 19, 2009)
|