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デンマーク人の会話法
もうずいぶんと前のことになるけれど、凍える雪が毎夜のように降りしきる体感だけは肌身に忘れない、北欧コペンハーゲンで、優美なデンマーク・ロイヤル・バレエ団のダンサーたちと取材を交わしてきた。いま思いかえしてみて、仕事会話以外の部分で文化摩擦として記憶に残るのは、取材ダンサーのひとりが余談として話してくれた「日本人とデンマーク人の会話共通点」。
デンマーク人は子供のころから、他者に対してなるべく礼儀正しくジェントルマンにふるまうよう教育されるのだという。だから自分がどれほど出世しようと、どれほど金持ちになろうと、どれほど才能に恵まれようと、それを1ミリでも鼻にかけようものなら「あいつは嫌なやつだ!」と村八分に悪のレッテルを貼られることに。まあ確かに過剰に自分自慢をするようなやつは、たいがいの世界ではいけ好かないやつだから、この論理は納得がいく。けれどデイニッシュ会話の人間臭くねじくれたところは、ここから先の部分。過剰に自慢することを避けるあまり、しなくてもいいのに、あえて過剰にマイナスに謙遜するというのだ。
「僕は、たいした人間じゃないから」
「私なんてこの程度の人間だから」
そしてこうした発言に対して聞き手は十中八九、
「いやいや、そんなことはないよ。君もなかなかたいしたものだよ」
と、優しい合いの手を入れることを暗に望まれるという。
要は抑圧された自尊心を他者に押し売りすることで、会話を保っているのだ。
だから僕は自分がダンサーとして才能がある、なんて口が避けても言えないんだよね。まあでもここでは言っちゃうけど、とその彼はいたずらっ子のようにくすりと笑った。なんだかこの妙にねじ曲がったストレートじゃない会話法、甘えあいの温情主義から必要以上に言葉の表ではなく裏を汲んであげる手法が、どことなく日本人に似ている気がした。
とまあ、そんな煙のように消えてしまう無駄話はいいとして、来日公演の公式ウェブサイトにインタビューを随時掲載してもらう予定です。こちらのページでは、きちんと仕事としてバレエのことを書いています。なるべく丁寧に記事を書こうと思いますので、お時間があれば是非。




デンマーク・ロイヤル・バレエ団来日サイト
http://www.nbs.or.jp/blog/0905_danish/
(March 8, 2009)
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